仕事を通してどんどん技術が向上し、楽しく作業ができるようになってくることがナスクの仕事の魅力です。ナスクには挑戦できる環境があり、特に私の心に残っているのは技能五輪です。五輪の技術力の高さを説明すると、例えば、種目の一つに木の部材同士を接合させるものがあるのですが、0.1ミリ（コピー用紙1枚分）の隙間すら減点対象で、その技術が難しく、たくさん練習したことを今でもよく覚えています。練習過程では多くの仲間に支えられました。一つ上の技能五輪世界大会出場者の梅田さんが毎日2時間以上練習に付き添ってくれたり、山口工場長も体調や家庭を気遣った言葉をかけながら丁寧に指導してくれたり、総務の永田さんが毎日飲み物や給食を差し入れしてくれたり、永田社長も仕事終わりに練習風景を見に来てくれて声をかけてくれたり...多くの方々の支援と声援で、自信が沸き、練習を乗り切り、銅賞を獲得できました。
そういった技術の積み重ねがあることで、こども本の森やJASMもナスクが任されているんだと感じます。

正直、入社するまでは「建具」という言葉も知らず、ホームセンターみたいなところで在庫管理をする仕事だと思っていました。ただ、実際に勤めてみると、ナスクは、中でも管理という仕事は、勉強すればするほど世界が広がる仕事だと感じています。

管理とは何かというと、ナスクが活躍する物件は学校や病院などの大型な物件、公共の物件も少なくありません。その中で管理は、お客様であるゼネコン（＝ゼネラリスト）と社内の職人達（＝スペシャリスト）の橋渡しをする仕事で、社内外の様々な知識が身につく仕事です。なので、裁量も大きく、よくも悪くも自分の仕事一つで結果が大きく変わる部署です。だからこそ、その仕事の先には、他の部署では得られない出会いや経験が得られるのも管理の仕事の魅力です。言い換えると「ゼネラリストとスペシャリストのいいとこどりをしたような部署」とも考えられます。

私は幼少期から、ものづくりを通して思い描いたものを形にするのが好きで、今、自分の好きが仕事になっていることに喜びを感じています。特にナスクの手掛ける製品は、生活に不可欠なもので、しかも県内各地に施工した現場があるので、商品を通じて誰かの役に立っているという実感が得られています。特に私の地元である阿蘇神社の建具を造らせていただいたことに感謝していて、地域貢献が目に見えるのが魅力です。家族や友人にも自慢できる現場でした。

また技術という点で言うと、２１歳で出場した技能五輪で全国２位の銀賞を獲得できた時には涙が出るほど嬉しかったことを覚えています。自分がナスクで積み上げてきたことが評価され、努力は報われること、技術が全国に通用することを感じ、その後の仕事の自信にもなっています。そこで得た個人の成長が、会社の成長へと繋がっていると思っており、自分たちで会社をいくらでもよくできる環境がナスクにはあると思っています。

ナスクの仕事で達成感を覚えるのは、工期の厳しい現場や難易度の高い取り付けなどを完成させた時ですね。特に最近では、2024年に熊本市にオープンした「こども本の森」のプロジェクトです。この案件は、一級建築士の安藤忠雄氏が手掛けた、日本で4軒目となる子ども図書館で、これまで経験したことがないほど複雑な物件でした。壁一面が本棚という物件なので、途中まで工場で組み立てて運ぶということができない、非常に時間がかかる作業で、工期も厳しく大変苦戦しました。それでもみんな弱音一つはかず、楽しみながら仕事をしていて、「頼もしいなぁ」と思いましたね。完成後、一番最初に「やっとゆっくり寝れるなぁ」と思ったことは今でも覚えています（笑）
完成後、安藤忠雄さんが見に来られたのですが「４軒のこども本の森の中で一番いいできだ」と言われ、頑張ったのが報われたなぁと思いました。チームワークや絆が深まったのはもちろん、どんな難しい仕事でもやればできるという自信にもつながりました。